設立趣旨
玉島は、岡山県倉敷市西部に位置する、瀬戸内海に面した港町を起源とする地域です。
江戸期以降、港町の繁栄とともに、港周辺には商人や旦那衆の社交・商談の場として多くの茶室が設けられました。その数は最盛期には約400に及んだとも言われ、現在でも約70の茶室が残るとされています。そうした茶室群が地域社会と結びつきながら継承されてきた玉島は、全国的にみてもたいへん貴重な地域です。
一方で、玉島は多くの地方都市と同様、住民の高齢化や人口流出、空き家の増加といった課題を抱えています。こうした状況のなかで、茶室が本来の用途を失い、住宅の建替えにともなって取り壊されるなど、その数は減少の一途をたどっています。今後さらに継承が困難になることが懸念されます。
近年、わが国では和食や和室をはじめとする生活文化の価値を見直し、次世代に継承していくための取り組みが進められています。そうした生活文化と関わり、和室の成立とも関係が深い茶室もまた、日本人の美意識や自然観などが色濃く反映された空間です。しかし、文化財に指定・登録されるような顕著な特徴を有する茶室を除けば、地域に残る身近な茶室の保存活用を検討する機会は必ずしも十分ではありませんでした。
私たちは、玉島に残る茶室群を、個々の建物としてだけでなく、港町の歴史,商人文化、茶の湯の営みと一体となって形成されてきた地域の文化遺産として捉え継承していくことが重要であると考えます。さらに、地域内外に情報発信し、課題の共有と活動への協力・参加を募ることも必要です。これらの公益的な活動を継続的かつ安定的に進めるためには、法人格を取得し、責任ある運営体制を整えることが求められます。そこで,私たちは特定非営利活動法人玉島茶室群保存活用の会を設立し、自治体や地域住民との連携のもと、玉島の茶室群の調査研究、公開活用、修理修繕の支援、教育普及、情報発信等の事業に取り組むことを決意しました。
茶室の継承が困難になっている状況は、玉島に限られたものではなく、文化遺産保全をめぐるわが国全体の課題でもあります。私たちは、玉島での活動を通じて得られた知見を広く発信することによって、地域に根ざした茶室や茶の湯文化の保存活用、さらには身近な文化遺産を次世代へ継承する取り組みの一助となることを願うものです。
設立に至るまでの経緯
・平成25年8月 任意団体「玉島茶室群研究会」設立
・平成26年4月 玉島茶室群研究会が故池田俊彦氏と共同で茶室調査を開始
・令和6年4月 岡山大学橋田研究室が茶室調査を開始
・令和7年4月 玉島茶室群研究会が中心となり玉島で茶室群ツアーを開始
・令和8年1月 NPO法人設立に向けた住民説明会を開催
・令和8年7月 NPO法人化に向け設立総会を開催
NPO法人の情報公開
以下、特定非営利活動促進法第28条の2にかかる情報を公開しております。
その他、内閣府のサイトでも同じ情報を閲覧することが可能です。